計算 — FORMULA
残業代の計算方法。
式は4行しかない
残業代の計算は、思っているより単純です。①1時間あたりの基礎賃金を出す ②割増率を掛ける ③時間を乗じる。この3手順を、4種類の割増ごとに繰り返すだけです。
よくある相談 — Q & A
相談者
残業代って、自分で計算できるものなんですか?
回答者
できます。基礎賃金を出して、割増率を掛けて、時間を乗じる。この3手順だけです。
相談者
難しそうなんですけど。
回答者
難しいのは手順1の基礎賃金です。4つの割増率と、通しの計算例を本文で整理しています。
詳しい条件と計算は、この下の本文で確認できます。
01
3つの手順と、4つの割増率
残業代は、次の3つの手順で計算します。
- 1時間あたりの基礎賃金を出す月給から、固定残業代と除外できる手当を引いて、月平均所定労働時間で割ります。
- 割増率を掛ける時間外25%、月60時間超50%、法定休日35%、深夜25%。
- 時間を乗じる該当する時間数を掛けます。
割増率は4種類しかありません。どこで間違えるかと言えば、手順1の基礎賃金です。ここが1円違うと、全部の金額がずれます。
| 区分 | 割増率 |
|---|---|
| 時間外労働(法定8時間超・週40時間超) | 25%以上 |
| 月60時間を超える時間外労働 | 50%以上 |
| 法定休日労働 | 35%以上 |
| 深夜労働(22時〜5時) | 25%以上 |
02
手順1:基礎賃金を出す
式は次のとおりです。
月平均所定労働時間は、年間所定労働日数×1日の所定労働時間÷12です。年間休日120日・1日8時間なら、245日×8時間÷12=163.3時間になります。
「除外できる手当」は限られています。家族手当・通勤手当・住宅手当などでも、全員一律で支給されているなら除外できません。ここを間違えると基礎賃金が低く出ます。
なお、固定残業代は「引く」ものであって「除外する」ものではありません。割増賃金の前払いなので、基礎賃金から外したうえで、後で充当します。
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03
手順2:割増率を掛ける
基礎賃金に割増率を掛けます。1.25、1.50、1.35、0.25という4つの数字です。
ここで注意したいのが、「25%」は「1.25倍」であって「0.25倍」ではないという点です。時間外労働には、通常の賃金(1.0)に割増(0.25)が乗った1.25倍が支払われます。深夜だけは例外で、通常の賃金は別に支払われているので、加算分の0.25倍を計算します。
| 区分 | 1時間あたり |
|---|---|
| 時間外(1.25) | 1,875円 |
| 60時間超(1.50) | 2,250円 |
| 法定休日(1.35) | 2,025円 |
| 深夜加算(0.25) | 375円 |
自分の基礎賃金で、計算してみる。
月給・所定労働時間・残業時間を入れると、4つの割増をまとめて計算します。
04
手順3:時間を乗じる。重複の扱い
最後に時間数を掛けます。ここで気をつけるのは、同じ時間を二重に数えないことです。
- 時間外+深夜時間外労働が22時を過ぎた分は、1.25+0.25=1.50で計算します。
- 法定休日+深夜法定休日の労働が深夜に及んだ分は、1.35+0.25=1.60です。
- 60時間超+深夜60時間を超えた時間外が深夜なら、1.50+0.25=1.75になります。
つまり、深夜の25%は必ず加算されます。ここを落としている会社は少なくありません。深夜の残業が多い職場では、差額がまとまった額になります。
05
通しで1回、計算してみる
条件を揃えて計算します。月給32万円(基本給26万円+固定残業代3万円+住宅手当3万円)、年間休日120日、時間外45時間、うち深夜8時間、法定休日労働1日(8時間)とします。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 基礎賃金の対象 | 32万−3万−3万 | 260,000円 |
| 月平均所定労働時間 | 245日×8÷12 | 163.3時間 |
| 基礎賃金 | 260,000÷163.3 | 1,592円 |
| 時間外45時間 | 1,592×1.25×45 | 89,550円 |
| 深夜加算8時間 | 1,592×0.25×8 | 3,184円 |
| 法定休日8時間 | 1,592×1.35×8 | 17,194円 |
| 合計(固定残業代を引く前) | — | 109,928円 |
| 固定残業代3万円を充当 | 109,928−30,000 | 79,928円 |
この例では、月あたり約8万円が不足しています。3年分なら約288万円です。手順を追うだけで、この数字が出ます。
よくある反論 — 会社の言い分と、こちらの整理
| 会社が言いがちなこと | こちらの整理 |
|---|---|
| 残業代は基本給だけで計算する | 基本給のほか、除外できない手当も基礎賃金に入ります。手当を除いて計算すると単価が下がり、不足が出ます。 |
| 割増率は一律25%でよい | 時間外25%、月60時間超50%、法定休日35%、深夜25%(重なれば加算)と分かれます。時間の性質ごとに率を当てます。 |
| 1か月の残業代をまとめて四捨五入する | 合計してから処理するのは構いませんが、日々の時間を先に切り捨てると不足します。順番が逆になっていないか確認が必要です。 |
未払い残業代が請求できるか、確認する。
月給・残業時間・入社と退職の年月を入れるだけで、請求できる範囲の月数と金額を計算します。登録は不要で、入力内容はブラウザの外に出ません。
- 時効で消える前の金額が分かる
- 固定残業代を引いた不足額が出る
- 管理監督者に当たるかも5問で確認