計算 — ROUNDING
残業代の端数処理。
切り捨てが許されるのは、どこまでか
「1日30分の残業は切り捨て」という運用を、悪気なく続けている会社があります。これは労働者に不利な端数処理として、未払いと判断される可能性が高い運用です。
よくある相談 — Q & A
相談者
30分未満は切り捨て、という運用になってます。
回答者
それは労働者に不利な端数処理です。処理は1か月の合計に対して行うのが原則で、日ごと・時間ごとに切ると未払いが積み上がります。
相談者
15分単位の管理自体がダメなんですか?
回答者
管理の単位は問題ありません。切り捨てているかどうかが問題です。正しい順番を本文にまとめています。
詳しい条件と計算は、この下の本文で確認できます。
01
原則:合計してから処理する
端数処理が認められるのは、1か月の割増賃金の総額を計算した後です。総額に対して50銭未満を切り捨て、50銭以上を切り上げる、といった処理は実務上行われています。
一方、1日ごと、あるいは1時間ごとに切り捨てると、切り捨てた分が積み上がって未払いになります。1日30分の切り捨てが月20日あれば10時間、年間120時間です。
02
1日単位・1時間単位の切り捨てが危ない理由
時間外労働の時間数は、1日ごとの実労働時間から計算します。1日8時間10分働いたら、10分は時間外です。これを「8時間」として扱えば、10分が未払いになります。
行政解釈では、1日単位・1か月単位の端数処理は、労働者に不利にならない範囲で認められるとされています。つまり、切り捨ては認められず、切り上げるか、そのまま計上するかのどちらかです。
実務で問題になりやすいのは、「30分未満は切り捨て、31分以上は1時間に切り上げ」という運用です。切り上げる部分があるので一見バランスしていますが、切り捨てた分と切り上げた分が相殺される保証はありません。日によって偏れば、労働者に不利になります。
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03
15分・30分単位の丸めは違法か
結論から言えば、15分単位・30分単位で管理すること自体は違法ではありません。問題は、丸めの方向です。
- 切り上げ労働者に有利なので問題ありません。
- 四捨五入1か月の合計で見て不利にならなければ、許容される余地があります。
- 切り捨て労働者に不利なので、未払いになります。
「15分単位で管理しているから、14分は時間外に入れない」という説明は、切り捨てを正当化する理由になりません。14分働いていれば、14分分の賃金が発生しています。
04
正しい処理の順番と、確認のしかた
正しい順番は次のとおりです。
- 1日の実労働時間を記録する分単位で記録します。ここで丸めません。
- 時間外・休日・深夜に分類する日ごとに、8時間超、法定休日、22時以降を分けます。
- 1か月分を合計する区分ごとに時間を合計します。
- 割増賃金を計算する基礎賃金×割増率×合計時間。
- 最後に端数処理をする総額に対して50銭未満切り捨て等。
確認するときは、給与明細の残業代と、自分で計算した金額を比べるのが最短です。差があれば、どこで丸められたかが分かります。
出典
SOURCES — 出典
- 労働基準法 第24条(賃金の全額払い)、第37条(割増賃金)
- 昭和63年3月14日 基発第150号(1か月の時間外労働時間数の端数処理)
よくある反論 — 会社の言い分と、こちらの整理
| 会社が言いがちなこと | こちらの整理 |
|---|---|
| 1時間未満は切り捨てている | 1日・1時間単位の切り捨ては、労働の対価を一方的に減らす扱いで、認められません。合計した後に処理します。 |
| 15分単位で丸めているので問題ない | 丸め自体が直ちに違法とはいきませんが、常に下方向へ寄る運用なら、切り捨てと同じ結果になります。 |
| 端数は四捨五入している | 四捨五入で下振れする月と上振れする月が混在するなら、まだ説明できます。切り捨て固定なら不足が積み上がります。 |
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