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雇用 — PART TIME

パート・アルバイトの残業代。
時給制でも割増は付く

パートでもアルバイトでも、割増賃金のルールは適用されます。「短時間勤務だから関係ない」は誤りです。

公開 2026.10.23改訂 2026.10.27根拠 労働基準法 第37条・第32条

よくある相談 — Q & A

相

相談者

パートでも残業代はもらえるんですか?

答

回答者

もらえます。法定労働時間を超えれば25%の割増が必要です。

相

相談者

扶養の範囲内なので、もらうと困るんですが。

答

回答者

年収の壁を超える可能性はあります。まず金額を確認してから判断するのが現実的です。

詳しい条件と計算は、この下の本文で確認できます。

01

2つの境界線

パートの場合、境界線が2つあります。

  • 所定労働時間契約で決めた時間(例:1日6時間)。超えると契約上の賃金が発生しますが、法定内なら割増は不要。
  • 法定労働時間1日8時間・週40時間。超えると25%の割増が必要です。

1日5時間の契約で7時間働けば2時間分の賃金、9時間働けば8時間超の1時間に25%が必要です。

02

扶養内で働く場合

扶養の範囲内で働いている場合、残業代を受け取ると年収が増え、扶養から外れる可能性があります。

ただし、未払いの残業代は本来受け取るべき賃金です。請求を見送る判断は、長期的な損失になり得ます。まず金額を確認してから決めます。

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時給1,200円・週30時間の人の計算例

パート・アルバイトでも、所定を超えれば割増が必要です。具体例で確認します。

時給1,200円、1日6時間・週5日(週30時間)の契約の人が、繁忙期に1日8時間・週5日働いた月を考えます。所定は6時間なので、1日2時間×20日=40時間が所定超です。

時給制の場合の割増計算
区分計算金額
所定内(6時間×20日)1,200 × 120時間144,000円
所定超(2時間×20日)1,200 × 1.25 × 40時間60,000円
支払われるべき額—204,000円

ここで注意すべきは、「8時間を超えた分だけが割増」ではないという点です。パートの所定が6時間なら、6時間を超えた時点で割増の対象になります。「8時間までは時給そのままでよい」という扱いは誤りです。

もし会社が40時間すべてを時給1,200円で支払っていたら、差額は12,000円(40時間×300円)。これが毎月続けば年間14万4,000円、3年で43万円を超えます。1日の差は小さくても、積み上がると無視できません。

週の所定が30時間なら、週40時間の法定労働時間には達していません。それでも、契約した所定時間を超えた分には割増が必要です。

扶養内でも割増は付く。社会保険との線引き

「扶養内で働いているから残業代は出ない」という説明をされることがありますが、これは誤りです。扶養の範囲は社会保険の話で、割増賃金の義務とは無関係です。

混同しやすい2つの基準
項目何で決まるか残業代への影響
扶養(社会保険)年収130万円未満、週20時間未満などなし
割増賃金所定時間を超えたかこれが基準

扶養を外れないように残業を調整している職場では、「残業させない」ために所定時間を短く設定し、実態は長く働かせるという運用が起きることがあります。この場合、所定を超えた時間には割増が必要です。

もう1つ多いのが、「扶養を超えないように残業代を現金で渡す」という扱いです。賃金として支払われた以上、割増の計算対象であり、社会保険の算定にも影響します。現金手渡しであっても、支払いの事実は変わりません。

確認すべきは、契約上の所定時間と、実際に働いた時間の2つだけです。扶養の区分は、その後の社会保険の手続きで調整する問題です。順番を取り違えないでください。

シフト制なら、所定時間はどこで決まるか

シフト制のパートでは、「所定労働時間」が日によって変わります。この場合、どこを基準に割増を判定するのかが問題になります。

決まり方所定時間の扱い
シフトで開始・終了時刻が指定されているその日の指定時間が所定。超えた分が割増対象
「9時〜17時」など固定的に定められている固定の所定時間。休憩を除いた実労働時間で判定
繁忙期だけシフトが延びる延びた後の時間が所定。延長部分は割増の対象外になり得る

3つ目が落とし穴です。シフトを事前に変更した場合、変更後の時間が「所定」になるため、延長部分には割増が付かないことがあります。ただし、変更が当日や直前で、実質的に「働かされた」なら話が変わります。

判断の分かれ目は、変更に合意があったか、事前にどれだけ余裕があったかです。1週間前のシフト変更なら所定の変更と評価されやすく、当日の「今日は2時間延びて」は時間外と評価されやすくなります。

いずれの場合も、シフト表そのものが証拠になります。変更前と変更後のシフトを両方保存しておくと、どちらの評価になるかを争えます。

週の所定を超えたら、週単位で見る

1日の所定に収まっていても、週の所定を超えていれば割増が必要です。パートで多いのは、「1日は短いが、日数が多い」パターンです。

1日5時間・週4日(週20時間)の契約の人が、繁忙期に週5日出勤した場合を考えます。1日5時間なので、8時間は超えていません。しかし週20時間の所定を5時間超えています。

週の所定を超えた場合
区分時間割増
所定内(週4日×5時間)20時間なし(時給×1.0)
所定超(5日目)5時間時給×1.25
法定超(週40時間を超えた分)0時間—

時給1,100円なら、5時間×1,100×1.25=6,875円。時給のままなら5,500円なので、差は1,375円です。これが月に4回あれば5,500円、3年で約20万円になります。

ここで混同しやすいのが、「週40時間を超えていないから割増は不要」という説明です。週40時間は法定の上限で、所定がそれより短い場合は所定が基準になります。契約上の所定時間を超えた時点で、割増の対象です。

「1日8時間・週40時間」は上限の話。「契約した所定時間」は下限の話。この2つは別物です。

契約更新で所定が変わった場合の、境目

有期契約のパートでは、更新のたびに所定時間が変わることがあります。この場合、いつの所定を基準に計算するかが問題になります。

契約変更と、割増の基準
状況基準になる所定
契約更新で所定が6時間から7時間に増えた更新後の7時間。それ以前は6時間で判定
実態は8時間働いていたが、契約は6時間のまま契約上の6時間。2時間分が割増対象
契約書に所定の記載がない実際の就労時間から推認する

2つ目が実務で多い類型です。「契約は6時間だが、実際は毎日8時間働いている」——この場合、2時間分は割増の対象になります。「本人が了承していた」「慣例だった」という説明では、支払い義務は消えません。

3つ目のように記載がない場合は、シフト表や雇用通知書から実際の所定を認定します。労働条件通知書には所定時間の記載が義務づけられているので、まずそれを確認します。書面がないこと自体が、会社側の不備です。

期間は時効の3年分です。契約が細かく変わっている場合、「いつからいつまで、所定が何時間だったか」を表にまとめると、計算の根拠が明確になります。ここを曖昧にすると、金額の認定で削られます。

1日8時間を超えたら、そこから割増が始まる

「パート 8時間以上 割増賃金」で調べる人が知りたいのは、8時間という線が何の境界なのかです。答えは単純で、労働基準法32条の法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた部分に、25%以上の割増が必要になります。パートもアルバイトも、時給制でも、この線は動きません。

ここで混同されやすいのが、「8時間を超えた分」と「所定労働時間を超えた分」は別物だという点です。パートの所定が1日5時間なら、5時間を超えた時点から「契約を超えた労働」になりますが、割増が付くのは8時間を超えてからです。5〜8時間の部分は、時給分(100%)は支払われますが、25%の上乗せは付きません。

時給1,200円・所定1日5時間の人が、1日10時間働いた場合
労働した部分法的な位置づけ支払われる額
1〜5時間目所定内時給 1,200円
5〜8時間目(3時間)法定内残業(所定超・法定内)時給 1,200円(割増なし)
8〜10時間目(2時間)法定時間外1,200 × 1.25 = 1,500円

この日の支給額は、1,200×8時間=9,600円に、1,500×2時間=3,000円を足した12,600円です。5〜8時間目に25%を上乗せしてしまう誤りも、逆に8時間超に上乗せしない誤りも、どちらも実務でよく見ます。

「残業」という言葉自体が曖昧なので、確認するときは「法定時間外が何時間か」と聞くのが確実です。就業規則や雇用契約に「残業代は時給の1.25倍」とだけ書かれている場合、その規定が法定内残業にも適用されるかは契約次第です。法定内まで25%を払う契約は珍しくありませんが、法律が要求しているのは8時間超の部分だけという点は押さえておいてください。

アルバイトでも、割増率はパートと同じ

学生アルバイト、フリーター、短期の雇用——呼び方が何であっても、労働基準法の適用に違いはありません。アルバイトという雇用形態に独自の割増率があるわけではなく、時間外25%、月60時間超50%、法定休日35%、深夜25%という率が、そのまま当てはまります。

アルバイトで特に差が出やすいのが深夜割増です。22時から翌朝5時までの労働には、時間外かどうかに関係なく25%が上乗せされます。コンビニや飲食の夜勤で、22時以降も時給が変わっていない場合、その差額が未払いになっている可能性があります。

時給1,100円のアルバイトが、22時〜24時の2時間働いた場合
項目計算本来の支給額
通常の時給部分1,100 × 2時間2,200円
深夜割増(+25%)1,100 × 0.25 × 2時間550円
合計—2,750円

22時以降の時給が1,100円のままなら、2時間あたり550円が未払いです。週4日これを繰り返すと月に約8,800円、1年で10万円を超えます。金額が小さいと諦めてしまいがちですが、時効は3年なので、さかのぼれる範囲はまとまった額になります。

もう一つ、アルバイトで見落とされやすいのが「固定残業代」の不存在です。時給制の場合、働いた時間×時給で清算されるのが原則なので、名目上の「みなし残業」を置いていない限り、働いた分は全額支払いが必要です。「うちは時給に含んでいる」という説明は、割増分の説明にはなっていません。

なお、学生の場合、親の扶養や勤労学生控除との関係を気にされる方が多いですが、これは税金・社会保険の話で、未払い割増賃金を請求できるかどうかとは無関係です。請求して収入が増えると扶養の判定に影響する可能性はありますが、それは別に考える論点です。

よくある反論 — 会社の言い分と、こちらの整理

会社が言いがちなことこちらの整理
時給制なので割増は付かない 時給制でも、1日8時間・週40時間を超えれば25%の割増が必要です。時給×1.25が最低線になります。
扶養内で働いているので対象外 扶養の範囲は社会保険の話です。割増賃金の義務とは関係ありません。
パートは契約時間の範囲で働くもの 契約時間を超えて働かせたなら、その分は割増の対象です。契約の更新で時間を延ばしても同じです。

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