請求 — NOTICE
内容証明の書き方。
何を書けば効くのか
内容証明は、「いつ、何を、いくら請求したか」を記録に残す手段です。中身が曖昧だと、効果も薄くなります。
よくある相談 — Q & A
相談者
内容証明を送れば、時効は止まりますか?
回答者
6か月間の完成猶予があるだけで、時効がリセットされるわけではありません。6か月以内に次の手が必要です。
相談者
何を書けばいいんでしょう。
回答者
期間・時間数・計算根拠・請求額・支払期限の5つです。書き方を本文で確認できます。
詳しい条件と計算は、この下の本文で確認できます。
01
書くべき5項目
- 請求する期間いつからいつまでの分か。
- 時間数時間外・休日・深夜に分けて。
- 計算根拠基礎賃金と割増率。式を示します。
- 請求額合計金額。
- 支払期限期限を過ぎた場合の対応も書きます。
02
送り方
郵便局の窓口で内容証明+配達証明を差し出します。控えと配達記録は保管します。
会社宛てにするか代表者宛てにするかは、登記や就業規則で確認します。
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03
送った後が本番
催告の効果は6か月の完成猶予だけです。6か月以内に労働審判か訴訟を提起しないと、時効が完成します。
「内容証明を送ったから安心」が、最も多い誤解です。
文面の実例。そのまま使える構成
内容証明は、決まった書式があるわけではありません。ただし、書くべき要素は決まっています。以下は最小限の構成例です。
貴社と令和○年○月○日付で雇用契約を締結し、令和○年○月○日から令和○年○月○日まで勤務しました。
在職中、私は1か月あたり平均○時間の時間外労働を行いましたが、貴社は割増賃金を支払っていません。未払額は金○円です(別紙計算書のとおり)。
つきましては、本状到達日から14日以内に、下記口座へお支払いください。期日までにお支払いいただけない場合、労働審判の申立てその他の法的手段をとることを検討します。
令和○年○月○日 氏名・住所・連絡先
ポイントは3つです。①いつからいつまで働いたか ②何時間の残業があったか ③いくら足りないか。この3つが具体的であればあるほど、相手は「無視する」判断をしにくくなります。
計算書を別紙で添えると効果的です。月ごとに「実労働時間・所定時間・時間外時間・単価・割増率・支払済額・不足額」を並べた表を作ります。金額の根拠が追えることが、交渉力になります。
送った後の6か月。やること・やってはいけないこと
内容証明を送った日から6か月が、勝負の期間です。ここでの行動が結果を決めます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 送付直後 | 配達証明の到着を確認し、控えとともに保管。会社からの連絡を待つ |
| 2週間後 | 回答がなければ、電話かメールで一度だけ催促。記録を残す |
| 1〜2か月 | 交渉が進むなら金額と分割方法を詰める。合意は必ず書面に |
| 6か月の1か月前 | まとまらなければ、労働審判の申立てを準備する |
やってはいけないことは3つです。1つ目は、送ったことで満足して待つこと。猶予は6か月で、過ぎれば時効が完成します。2つ目は、口頭の約束で安心すること。「来月払う」と言われても、書面がなければ債務の承認として認められないことがあります。3つ目は、金額を大きく譲って即金を優先すること。相場より低い和解は、後の審判で「合意済み」と主張されます。
会社が「支払います」と書面で回答した場合、その時点から時効がやり直しになります。この場合は6か月の制約から解放されるので、分割払いの交渉にも時間を使えます。ただし、書面に「支払う」と明記されていることが条件です。「検討します」では承認になりません。
送る前の最終チェック5点
内容証明は一度送ると撤回できません。差し出す前に、次の5点を確認してください。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 宛先は本店か | 登記簿の本店所在地。支店や就業場所に送ると、到達の主張で争いになります |
| 代表者名は正しいか | 登記簿の代表取締役の氏名。旧社名・旧代表者のままだと効力が弱まります |
| 金額と期間は特定されているか | 「○年○月分から○年○月分まで、合計○円」。曖昧な表現は避けます |
| 計算書は添付したか | 月ごとの時間数・単価・割増率・不足額。相手が検算できる形にします |
| 時効までの残りは足りているか | 残り6か月未満なら、内容証明より労働審判を優先します |
見落としやすいのが「請求する範囲」の書き方です。「未払い残業代を請求します」だけでは、いつの分かが特定できません。「2023年10月分から2026年9月分まで」と月単位で区切ります。
もう1つ、送り主の住所も重要です。住民票の住所と違う場所から送ると、会社側が「本人確認ができない」と主張することがあります。現住所と氏名を正確に記載してください。
内容証明・配達証明・特定記録の違い
郵便局の証明サービスは3種類あり、役割が違います。混同すると、送った事実は残っても中身を争われることになります。
| 種類 | 証明できること | 用途 |
|---|---|---|
| 内容証明 | どんな文面を、いつ、誰が誰宛に送ったか | 請求の意思を示す本文 |
| 配達証明 | 相手に届いた日 | 時効の起算、到達の立証 |
| 特定記録 | 差し出した事実(受け取りの署名は不要) | 安価に送達を残したいとき |
残業代の請求では、内容証明+配達証明が標準です。内容証明だけでは「届いたか」が証明できず、配達証明だけでは「何を送ったか」が証明できません。両方付けて初めて、「この文面が、この日に届いた」と言えます。
特定記録は、受取人の署名が不要でポストに投函されます。安く済みますが、「届いた」ことの証明は配達記録ほど強くありません。相手が「見ていない」と主張する余地が残ります。時効を止める目的なら、配達証明を省く理由はありません。
差出人控えは、郵便局で交付される書類です。文面のコピーと合わせて、1つの封筒に入れて保管してください。労働審判では、この控えを証拠として提出します。
会社が無視したとき、次に何が起きるか
内容証明を送っても、会社が反応しないことは珍しくありません。その後の展開を、現実的に整理します。
| 会社の反応 | 意味すること | 次の手 |
|---|---|---|
| 連絡があり、支払いに応じる | 交渉が成立する方向 | 金額・分割・期限を書面で確定 |
| 「払えない」と回答 | 債務を認めている | 分割案を出し、合意書を作る |
| 「残業はなかった」と反論 | 争う姿勢 | 証拠を揃えて労働審判へ |
| 一切の返答がない | 無視。時効は進む | 6か月を待たずに申立てを検討 |
「払えない」という回答は、実は有利な事情です。債務を認めたことになるので、その時点から時効がやり直しになります。分割払いにする場合も、「いつ、いくら、何回」を書面に落とすことが条件です。口約束では、後から「そんな約束はしていない」で崩れます。
返答がない場合は、6か月を待つ必要はありません。猶予は6か月ありますが、待つほど有利になるわけではないからです。むしろ、会社が対応を準備する時間を与えることになります。返答がなければ1か月を目安に、労働審判の準備に移ります。
よくある反論 — 会社の言い分と、こちらの整理
| 会社が言いがちなこと | こちらの整理 |
|---|---|
| 内容証明を送れば支払ってもらえる | 内容証明は意思を確実に伝える手段で、支払いを強制するものではありません。時効の猶予は6か月です。 |
| 送った時点で時効は止まる | 催告として6か月の完成猶予が得られるだけです。その間に裁判所の手続きが必要になります。 |
| 配達証明があれば届いたことになる | 配達証明は届いた事実の証明です。内容を読んだことまでは証明しませんが、実務上は有効に働きます。 |
訴える前に、金額を1枚にまとめておく。
内容証明に書く金額は、根拠の内訳が一目で分かる形にしておくと、相手方にも労働基準監督署にも伝わります。試算ツールには、A4 1枚の試算シートを印刷・PDF保存する機能があります。氏名と勤務先の記入欄も入っているので、そのまま相談に持っていけます。
- 合計・内訳・時効の期限を1枚に
- PDFに保存してメール添付できる
- 印刷時は広告と追従ボタンを自動で除外
未払い残業代が請求できるか、確認する。
月給・残業時間・入社と退職の年月を入れるだけで、請求できる範囲の月数と金額を計算します。登録は不要で、入力内容はブラウザの外に出ません。
- 時効で消える前の金額が分かる
- 固定残業代を引いた不足額が出る
- 管理監督者に当たるかも5問で確認